Q&A of 柿の葉ずし 総本家 平宗

柿の葉ずしQ&A
Answer

Q1:柿の葉ずしはいつ頃何処で生まれましたか?
はっきりとした資料はありませんが、江戸時代中頃には奈良吉野地方の各家庭の夏祭りのご馳走として作られていたようです。
Q2:今と昔の柿の葉ずしの違いは?
まず大きさが違います。平宗で商品化されるにともない昔の半分位、丁度一口で食べられる位の大きさになりました。そして作り方も昔の白御飯からすし飯が使われるようになり、魚も塩分を減らし酢をあてることにより、そのままでもおいしく食べられる位に味が整えられてきました。塩分の濃い食品が敬遠される時代の要請に合わせていったのでしょう。今の食卓に昔の柿の葉ずし(馴れずし)をそのままのせると、その独特の風味がくさっていると誤解されてしまいます。昔に比べると今は魚そのものの鮮度がより求められるようになってきました。ただ現在でもやはり重石をかけ、一晩ねかせてから出荷いたします。

Q3:山里の吉野の名物に海の魚を使うのは何故?
昔、吉野に運ばれてくる海の魚は熊野灘から伯母峰峠を越えて行商の人の背負い籠で運ばれてくるか、紀の川沿いに運ばれてくるかのどちらかの行程がかかったそうです。その為に浜塩と云って魚が傷まないように存分の塩を腹に詰められて届いたようです。吉野にその魚が届くころには十分に塩もまわり、煮ても焼いてもショッパくて食べられない程で、その身を薄くそいで白御飯にのせて食べることを思いついたようです。
Q4:昔はどんな風に作られていたのですか?
十分に塩気の回った鯖は薄身にそがれ、一口大に握られたおにぎりの上におかれます。それを一つずつ柿の葉で包み込み桶の中に隙間無く詰め込み、上に蓋をして重石をのせ、ねかせます。三日程経って発酵が始まり御飯が糸をひくようになると丁度食べごろです。鯖の強い塩気も御飯全体に回り、酸味が生まれおすしのようになります。これが所謂馴れずしです。その後三日位はおいしく食べることができます。
Q5:柿の葉ずしにはどんな材料が使われていますか?
昔は鯖だけでしたが、平宗が最初に販売用として商品化したとき、鮭も使うようになりました。(谷崎潤一郎の陰翳礼讃 には鮭の柿の葉ずしの記述があります)今ではいろいろなスシネタが使われています。
Q6:固くなった柿の葉ずしは食べられませんか?
万が一、冷蔵庫に保管されたり、冬期に残した柿の葉ずしのご飯が固くなった場合、アルミホイルに包んで蒸し焼にするか、焼きおにぎりにように遠火で焼いてもおいしくお召し上がり頂けます。お試し下さい。
Q7:柿の葉ずしを宅急便で地方に送りたいのですが?
近年宅急便が急速に普及し、全国のほとんどの地域に翌日配達が可能なことから、産直品という売り出しで鮮度の高い物、 消費期限の短い商品までもが全国発送を扱うようになりました。柿の葉ずしもその例外ではなく、丁度商品を一晩ねかす間に先方に届くことから全国発送最適商品といえるかもしれません。ただ消費期限が短い為、お届け日に先方様が御不在の場合、無駄なことになってしまします。その為私共ではお届け先に在宅確認をしてこういった生物を送る旨をお伝えしてから発送させて頂きます。
Q8:どうして柿の葉っぱを使うのですか?
一番の理由は手近にいっぱいあったということだと思います。香りに癖もなく、丁度包み込み易い大きさ、強さ。先人が育んできた柿の葉ずしも現在の科学分析では、柿の葉にはタンニン(ポリフェノール)という高血圧を抑える成分が含まれていること、それが食品の保存に有効であること、ビタミン類が豊冨に含まれていること等が認められています。まさに身体に優しい食品といえるでしょう。

Q9:柿の葉ずしの葉は取って食べるのですか?
柿の葉に栄養素が多く含まれているため、一緒に食べるものと思われている方が多いのですが(中にはそいう主義の方もおられます)、食味の上からも取り除いて召し上がって頂く方がおいしいと思います。勿論柿の葉は綺麗に洗浄して使用しておりますので一緒に召し上がって頂いても問題ありません。
Q10:柿の葉ずしはどのように保管すればよいですか?
夏季にはやはり生物ですので、風通しのいい場所に置いて下さい。ただし冷蔵庫に直接入れるのは避けて下さい。御飯がボロボロになり柿の葉ずしの食味がなくなります。入れる場所はナイロン等でくるんで野菜入れに保管するとまだいいと思います。平宗の消費期限は常温状態での保管を前提としております。冬期は逆に環境温度が冷蔵庫状態になるため御飯が固くなることが心配です。室温での保管をお願いします。極端にストーブの傍等、熱い場所でない限り大丈夫です。いずれの場合もむき出し状態での保管は困ります。
Q11:柿の葉ずしの日持ちはどのくらいですか?
昔は一週間くらいの間に食べていた食品であり、それをご存知の方はそれくらい平気だろうとおっしゃられます。又、雑誌等で保存食として紹介されることが多いため、随分長く日持ちのする食べ物だと思われているようです。しかし先程申し上げたように現在は馴れずしとしての作り方はしておりません。その為平宗では製造後およそ三日以内にお召し上がり頂くことをお薦めいたします。勿論、普通の「にぎりずし」よりは長くおいしくお召し上がり頂けます。
Q12:冬には柿の葉はどうするのですか?
柿の葉ずしに使える新葉は大体5月下旬頃に取れます。それが11月には紅葉に色づき枯れていきます。その為に冬期の柿の葉は、8月頃葉っぱが一番しっかりしてきた時に塩漬けしていきます。冬になるとそれを順番に水洗いして塩気を抜いてから使います。ただ塩気は完全には抜けないので、味の調整はすし飯の塩分を加減しておこないます。初夏にはみずみずしい青葉、秋には鮮やかな紅葉、冬には渋い塩漬け葉、四季それぞれの楽しさがあります。
Q13:総本家っていうけれど、平宗ってどんなお店?
平宗は江戸時代末期・文久元年(1861年)奈良県吉野郡吉野町上市で、すし・川魚・乾物の製造販売業の営みを始めました。今から約140年前のことです。その後吉野川沿いに料理旅館を始め、鮎料理・山菜料理等を供しておりました。その中で料理の一品として吉野地方の各家庭で作られていた柿の葉ずしを遠来の客に提供することから広く全国に柿の葉ずしが知られるようになったのが、明治時代のことです。その後、吉野から奈良県全域へ、関西全域へと販路を広げ全国におなじみさんも随分と増えました。山里の先人達の知恵を受け継いだ私共の先代、育みと発展には感慨深いものがあります。今では奈良県ばかりでなく、各地に柿の葉ずしを製造販売する業社が生まれています。古いだけが値うちではないと思いますが、先人の知恵に負けない心つもりで「総本家」というおこがましい名称をつけております。

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